【就労移行】エナベルでの当事者研究① 当事者研究ってなんだ。

こんにちは、Mです。

(マゾではないと信じたいです。)

先日、エナベルにおいて当事者研究が行なわれました。
レポートをしたいところですが、その前に「当事者研究とは?」というところを書きたいと思います。
当事者研究とは、「みんなで困りごとを研究する会」です。
もっと固く言うと、SST*1や認知行動療法*2をベースとした、自助プログラムです。
*1……SSTは、ソーシャルスキルトレーニングのこと。社会で生活するために必要なこと(社会ルールやコミュニケーション能力など)を身につけるための活動です。ゲームやワークショップ形式が多く使われます。
*2……認知行動療法は、一般的なカウンセリングで使われています。「どう思って、どんな感情が起きて、何をしたのか」を結びつけ、問題の改善を探るアプローチです。

当事者研究の特徴

当事者研究は、参加者の「困りごと」に焦点を当て、みんなで研究する、という活動です。
特徴のひとつはこの、「みんなでやる」という点。
もうひとつは、「治さない」という点にあります。
以下から、具体的に説明して行きます。
当事者研究では、「自分に一番詳しいのは自分」つまり、
「自分が自分にとって最大の専門家」という視点が前提となっています。
そのため、当事者研究は必ずしも医者やカウンセラーなどの支援者・専門家を必要としません。
自分以外の全ての人が、支援者、医療者など関係なく、フラットな立場として参加することになります。

きっかけ

当事者研究の発祥の地である、北海道の精神障害者拠点「浦河べてるの家」での出来事を取り上げたいと思います。
べてるに、イライラすると感情が爆発してしまう……、というメンバーがいました。
あるとき爆発の後、本人が「本当は爆発したくない」「俺だってつらい」と漏らしたのです。
その声に対し、「だったらその『爆発』について、『研究』してみようよ!」というSW(ソーシャルワーカー/社会福祉士)の一言で、当事者研究は始まりました。

実際の内容

実際の活動は、主にホワイトボード(WB)を使って進められます。
まずはその日取り上げる「困りごと」をWBに書き、参加者で研究・分析を始めます。
「困りごと」のしくみ、きっかけ、パターン、意味などを考え、書いて行きます。
そして、どうすればより安全に「困れる」のか、知恵を出し合って考えていくのです。
例えば、とある「爆発」の研究では、
「イライラすると爆発する」「嫌なことが立て続けに起こると爆発しやすい」といった分析から、
「爆発すると少しすっきりする」という「困りごとのメリット」、
「爆発するとしばらくたってから自己嫌悪がひどい」という「デメリット」を見つけ、
「嫌なことは防げないの?」「他にすっきりできることは?」「自己嫌悪が弱くなればいいんじゃない?」……といった、「困りごととの付き合い方」を模索する形で進められることが多くあります。
そして場合によっては、「じゃあ私はあなたの爆発を責めないようにする」「私はイライラしてそうなときに声かけてあげる」「たまにカラオケに行こう!」といった周囲からのフォローを得られることもあります。
そのため、「爆発を止める」(=治す)ではなく、「爆発への対処」(=付き合う)を重視することになるのです。

当事者研究の意義とは?

「困りごと」は、健常者でも障害者でも、だれでも持っているものです。
ですが、困りごとの種類によっては、人と話し合うことは難しい場合もあります。
また、ひとりきりで「困りごと」について考えこむと、ますます落ち込んでしまうこともあります。
ひとりきりではどうにもできない困りごとだってあります。
当事者研究は、あえてそうした「困りごと」について話す場を設けます。
複数人で行なうため、考え込んで負のループへ陥る、ということはあまりありません。
ときには、自分ひとりでは思いつかない視点や、ちょっとした誰かの助けを得られることもあります。
たまに、みんなで悶々として、あまり身にならない(ように感じる)当事者研究も起こります。
ですが、参加者の誰かと共感することにより、なにがしかのお土産(成果)はあったりするものです。
自分以外のだれかにとって、とても大切な研究になっていた、ということもよくあります。
当事者研究は、そんな活動です。
この記事は後日、続きます

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