【発達障害】52歳で発達障害と診断された男性が訴えたい事

仕事はなく、80歳を過ぎた母親の年金頼み
キヨタカさんは関西のある地方都市の出身。
私立大学を卒業して会社員として働き始めたものの、仕事が長続きせず、これまで30回近く転職を繰り返してきた。
職場での人間関係もうまく築くことができず、上司や同僚から「生きとる意味あるのんか」などと罵倒されたり、こぶしで頬を殴られたりしたこともある。

仕事はもって1、2年。その間うつ病を発症し、何度もひきこもり状態に陥った。
自宅は、父親が建てた築50年以上の持ち家。
父親はすでに亡くなり、現在は80歳を過ぎた年金暮らしの母親と同居している。

室内の土壁はところどころ剥がれ落ち、屋根のトタンも一部が剥がれかかっている「地域では有名な廃屋」。
先日も近隣の住民から「風で屋根が飛んできそうで危ないから何とかしてほしい」と苦情を言われたが、母親の年金は月約10万円で、キヨタカさん自身は現在、失業中。
日々の食費にも事欠く状態で、家の修理など到底ままならないという。

80代の高齢の親が50代のひきこもり状態の子どもと同居する「8050問題」。
キヨタカさんは「うちはまさに8050問題の真っただ中にいます」と打ち明ける。

キヨタカさんにしてみると、何十年にもわたって失業とひきこもりを繰り返した末、50歳をすぎてようやく病院にかかったのだった。
冒頭で紹介した「診断に対する注意点」と書かれた書類を渡されたのは、本人や家族の問診、発達障害の診断の参考にされるウェクスラー式知能検査などを終え、後は診断結果を聞くだけというタイミングだった。医師から書類について説明を受けながら、キヨタカさんは複雑な思いになったという。

「私にしてみたら、これまでの生きづらさに何らかの説明がつけばという藁にもすがる思いで病院に行ったわけです。
それなのにただの甘え、やる気、気合の問題と、今まで散々言われてきたことを病院でも言われているような気がしました。
下手に反論すると診断をしてもらえないのではと思い、医師には『はい、わかりました』と答えました」

(中略)

 

こじれがちな人間関係、何度もひきこもりに
一方でキヨタカさんは子どもの頃から絵を描くのが得意だった。
10時間近く一心不乱に戦隊もののヒーローなどの絵を描き続け、作品は周囲の大人からもよく褒められた。
しかし、こうした芸術面でのセンスは仕事をするうえではマイナスにしかならなかった。
庭木の剪定の仕事をしていたときなどは、出来栄えになかなか納得がいかず、同僚らが3本、4本と片付ける間、キヨタカさんは1本しか仕上げることができなかったという。

人間関係もこじれることが多かった。
例えば、キヨタカさんはごちそうになったり、おごられたりした際にお返しをすることの意味が理解できなかった。
介護職場での夜勤や、林業の現場でのお昼ご飯のとき、キヨタカさんはよく弁当を忘れた。
そのたびに先輩や同僚がカップラーメンや自分の弁当を分けてくれたが、キヨタカさんは一度としてお返しに何かを渡したり、買ったりしたことがなかったのだ。
そのことについて嫌味を言われても理由がわからず、職場では孤立しがちだったという。

そして仕事を辞めるたびに落ち込み、何度もひきこもり状態に陥った。
ひどいときは2年近く自室に閉じこもり、このときは排せつもペットボトルの中で済ませたという。
久しぶりにコンビニで買い物をしたとき、声帯の機能が衰えていて「ありがとう」という言葉を発することができず、ショックを受けたことを覚えているという。

出口が見えないトンネルのような半生の中で、ようやく得た発達障害の診断。
キヨタカさんは「原因がわかってホッとした気持ちと、もっと早く教えてほしかったという気持ちの半々でした」という。
自分と同じような目に遭う人が少しでも減るようにと、ウェクスラー式知能検査の受検を義務化したほうがよいと訴える。

取材で話を聞き始める前、キヨタカさんは私に対して次のように言ってくれた。

「発達障害の特性で話が止まらなかったり、内容が飛んだりすることがよくあります。
ご迷惑をおかけするかもしれませんが、脱線しているときは話をさえぎってくださって構いませんので『話がずれている』『質問の答えになっていない』と指摘してくださいね」

発達障害の診断を受けて以来、初めて会う人には、同様の説明をしているのだという。

また、最近は人間関係やコミュニケーションに関するハウツー本を片っ端から読んでいる。
これらの本を参考に行動を改めたところ、驚くほど人間関係がスムーズになったという。

「お返しひとつにしても、コーヒーを1本渡すだけで、その後のコミュニケーションがうまくいくようになるということを知りました。
私の場合は正直、感謝や申し訳ないという気持ちからの行動というよりは、このように行動すれば人間関係がスムーズになるということを学んでいるという感覚です。
でも、そのことに気づけただけでもよかった」

 

「発達障害の私も努力します、だから…」
取材中、キヨタカさんはたびたび質問の内容を確認したり、「脱線しそうになってますよね」といったん話しかけたことを止めたりと、会話がスムーズにいくよう懸命に努力していることが伝わった。診断をきっかけに発達障害の特性からくる問題をなんとか抑えようとしているのだ。「問題を発達障害のせいにするな」といわんばかりの「診断に対する注意点」など必要ないと、あらためて思った。

50歳すぎてからの再就職はただでさえ厳しいだろう。
キヨタカさん自身、この後も引き続き一般雇用枠で働いたほうがよいのか、待遇は下がっても障害者枠で働いたほうがよいのか決めかねている。
キヨタカさんの願いはささやかだ。

「発達障害の私も努力します。だから発達障害ではない人たちもどうかもう少し私たちに歩み寄ってほしい」

https://toyokeizai.net/articles/-/413292 東洋経済オンラインより引用

 

エナベルで就労移行支援を受けています、ウサギのTです。

52歳で発達障害。それまで就職しては辞めて、引きこもっての繰り返しだった人にやっと下った診断。

それまで相当生きづらかったはずです。

長年抱えていた悩みの原因。もっと早くわかっていたら人生変わっていたはずです。

80代の高齢の親が50代のひきこもり状態の子どもと同居する「8050問題」にも関わってくる問題。

何十年にもわたって失業とひきこもりを繰り返した末、50歳をすぎてようやく病院にかかったという…。

もう少し早く病院にかかっていればここまでの問題にならなかったかもしれません…。

ただでさえ難しい50歳過ぎてからの再就職。一般枠か、待遇は下がっても障害者枠か。

ここまで一般就労で苦労してきたのだから、あえてそこに行かなくても…と個人的には思いますが。

この方はどうするんでしょうね。

それにしても、大人になってから判明する発達障害は本当につらい日々を重ねに重ねての話が多いですね…。

早く発達障害の診断が下っていれば…

きっと今も一般枠で働きながらとか、引きこもって息苦しさを感じてたりする人がいるんでしょうね…。

 

 

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