【発達障害】【障害者雇用】発達障害だからこそ得意な仕事もある
発達障害だからこそ得意な仕事もある、「コツコツ丁寧に取り組む」
2018年4月。障害者の法定雇用率が民間企業は2.0%から2.2%、国、地方公共団体は2.3%から2.5%、都道府県等の教育委員会は2.2%から2.4%へと引きあげられた。
また、対象となる事業主の範囲も従業員50人以上から45.5人以上へと広がった。
この改正を見る限り国は障害者の雇用に積極的に取り組んでいるようにも見えるが、今年8月中央省庁の障害者雇用の水増しが顕在化したように実態が伴わないものだった。
「共生社会」の実現という理念はどこへいったのか。本来であれば国が積極的に障害者雇用に取り組み、身体、知的、精神さまざまな障害に対し、どのような職種に適性があるのかなど知見を開示し、企業の法定雇用率の達成を促すのが本来の姿ではないだろうか。
もちろん法定雇用率の達成という数字にのみ意味があるわけではない。障害者雇用率制度には、「雇用・就業は、障害者の自立・社会参加のための重要な柱」「障害者が能力を最大限発揮し、適性に応じて働くことができる社会を目指す」と記されている。これを形骸化させないためにも中央省庁こそ多様な人材を生かすべく積極的に取り組んでほしい。
単なる数合わせではなく、人を生かす仕組みと仕事が必要なのだ。
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/14930
天宮:個人的な意見ですが、その業務に障がいの特性が適しているか、また、できる能力があるのか、ないのか、その見極めもせず、ただの人数合わせで採用されてしまったら、仕事もできず、その人の居場所すらなくなってしまうじゃないですか。
雇用すると報じられている数字は、様々な障害者がいることを理解した上で示されている数字なのか疑問です。
本当に障がいのある方のことを理解し、人材として活用するには専門家が必要になります。知識のない現場の人たちに「自分の仕事をしながら、この人たちのトレーニングもお願い」なんて頼まれても、現場の仕事は回っていきませんよね。
現場でも理解しやすく管理しやすいという点では、障がいをある程度選別し知識を持った人を配置していくべきかもしれません。
精神障害も障害者雇用の範疇に入るようになって、いろいろ障害の程度や適性をデータ化して見極める必要はこれからとても必要だと思います。
実質2~3年で雇い止め?障害者の就労、さらなる壁
賀部:障がい者の雇用率が高まったことによって就職できる人数が増えたことは喜ぶべきことですが、障がい者を雇用すると事業主に助成金が支給されるのですが、それが知的障がいでは2年、精神障がいでは3年と定められていて、その期間が過ぎた場合にそれまで雇用されていた障がい者が引き続き雇用されていくのか、新たな雇用獲得に動くのか、その際、雇用契約を更新できなかった障がい者はどこにいけばよいのか……。
その企業がどういった選択をするのかわかりませんが、2年後にそういった悩みを持った人が多くなるであろうことはある程度想像が出来ます。
天宮:就職して仕事を覚えて企業のプラスになっていればメリットもあるのですが、それがなければ企業サイドにメリットがなくなりますから、新しい人を雇って助成金を受けるほうがいいと判断されてしまいますし、実際にそうしたケースはあります。
「障がい者を雇用すると事業主に助成金が支給されるのですが、それが知的障がいでは2年、精神障がいでは3年と定められてい」るというのは今後大きな問題になっていくでしょう。助成金が出なくなったら新しい障害者を雇用するという手段を取る企業は絶対に増えると思います。
障害者雇用という問題をただの雇用率の問題にしていくと、このように障害者たちを「使いまわしにしていく」企業や公共機関が増えていくばかりだと思います。
そうなると逆に「障害者手帳を作らず」にいたり「障害者認定」を避けたりするケースが増えて、さらなる大きなミスマッチから企業にも個人にも悪影響を及ぼすことも大いに考えられます。
ハローワークだけに負担させるのではなく、もっと障害者向けの自立支援施設や事業所を増やし、「この障害者の人はこんな仕事ならできる」「この障害者の人はここに気を配れば仕事ができる」という適正を見極めるワンクッションを置いて、一般就労とのマッチングを増やしていくべきだと思います。
そういう必要性が高まっているのが、現在の就労継続支援A型B型事業所や就労移行支援事業所なのですが、この辺りの補助金がかえって節減されているという現実は、大変に退行していると思います。
「障害者の職業訓練」というだけでなく「企業への障害者雇用対策」として、もっとこれらの事業所は見直されるべき手ではないでしょうか?