40歳以上のひきこもりに支援なし 就労につなげづらいと判断か

40歳以上のひきこもりに支援なし 就労につなげづらいと判断か

『ルポ ひきこもり未満 レールから外れた人たち』を上梓した池上正樹氏
ジャーナリストの池上正樹氏が上梓した『ルポ ひきこもり未満 レールから外れた人たち』(集英社新書)。ここに登場するひきこもり当事者たちの数々の肉声は、その暗く閉ざされた世界への入り口が、現代社会の至る所に潜んでいるという現実を教えてくれる。

大企業という”安全地帯”にいる人でさえ、「ひきこもり問題は他人事ではない」。これが約20年にわたって社会的孤立者を取材し続けてきた著者の実感だ。そして、一度そこに堕ちてしまえば、セーフティネットの外側にある孤立無援の”闇”から抜け出せなくなる……。

では、社会はひきこもり問題とどう向き合うべきか。池上氏と一緒に改めて考えてみたい。

こんにちは、エナベルで就労支援を受けているOです。

これ。

私も40代で引きこもりのような生活をしていたからよくわかります。

幸い、うつ病で障害者手帳を取っていたので、エナベルで就労支援を受けて落ち着いてきていますが、もしあのとき病院で障害者手帳の申請をしていなかったら?

――40歳以上のひきこもりの人たちは公的支援の蚊帳の外にいると?

池上 はい。中高年層は「働くことが前提の世代」として制度設計されてきたため、セーフティネットの谷間に置かれ続けてきたのです。

例えば、働くことに悩みを持った若者向けの支援機関として、サポステ(地域若者サポートステーション)があります。厚生労働省が委託したNPO法人や民間企業が運営し、専門のスタッフが相談に乗ってくれたり、コミュニケーション訓練などを施してくれる施設で、現在、全都道府県に175カ所設置されています。

しかし、これまでの支援対象者の定義が曖昧で、ひきこもり状態の人も含まれていました。しかも、サポステの支援対象者は15歳から39歳までの若者に限定されていたことから、40歳以上の人が窓口に行くと年齢確認のうえで「あなたは支援の対象ではない」と冷遇されてハローワークを勧められるか、あるいは「精神科へ」と医療機関に誘導されることも少なくありませんでした。

役所にひきこもり関係の相談をすると、サポステを紹介されるのに、40歳以上のひきこもる人たちや、その家族を支援する相談窓口が”どこにもない”という状況が放置され続けてきたのです。

と考えるとゾッとします。

これは本当にそうです。今の行政では40歳以上のレールに外れた人たちに対する支援はほとんどありませんし、もちろんまともな就職なども不可能に近いです。

いま、生きづらさを感じている人たちが生きやすくなる社会とは、実は、現代に生きるみんなが生きやすい社会になるということ。だから、ひきこもり問題は他人事ではなく自分事として考えてほしいと思っています。

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