【障害者雇用】障害者雇用バブルとは……

障がい者雇用をバブルに終わらせない

中央省庁で雇用水増しが発覚するなど、今、障がい者の雇用問題に改めて注目が集まっている。障がい者と健常者が共生する社会の実現に必要なものは何か。1965年の創設以来、障がい者の自立と就労の支援を手掛けてきた大分県別府市の社会福祉法人「太陽の家」の山下達夫理事長に話を聞いた。

(聞き手は日経BP総研 中堅・中小企業ラボ所長 伊藤暢人)

https://business.nikkei.com/atcl/interview/15/269473/122000158/?P=1

山下:確かに今、障がい者の就労やスポーツは世間からの注目度も高くなっています。バブルに近い状態ですね。太陽の家の創設者である中村裕は「障がい者は仕事を持ち自立することが最も必要」という信念を持っていましたが、その思いが今の時代に浸透してきたのだと感じます。

 直接的な背景としては少子高齢化も大きく関係していると思います。これまで、やや閉ざされた中にいた障がい者の方々が「社会に必要」と認識されるようになってきた。メディアの影響も大きいですね。障がい者スポーツなどが社会に広く発信され関心が集まるようになってきた。こうしたことが、今のややバブル的な状況を生んでいるのではないかと思います。

障害者雇用については、少子化もあり今は雇用がバブルに近い状況になっているのは事実のようです。

山下:企業が今、障がい者雇用で一番苦労しているのは、ハード面ではなくソフト面です。例えば仕事の切り出し。業務の中のどの部分を障がい者の方々に任せるかということです。私が障がい者雇用の話をする時には、「外注に出している仕事を少しずつでも障がいのある方に切り出してもらえないか」というお願いをしてきましたが、障がいのない方の中には、「障がい者に何をさせればいいのか」「何もできないんじゃないか」と戸惑う人も多い。まずはチャンスを与えてやらせてみる。もしできなければ、できるようになるためには何が必要かということを話し合う。そういう対応が重要です。障がいのない方々の障がい者に対する考え方、気持ちを変えなければ、採用ありきで4000人という数だけ合わせようとしてもうまくいかないと思います。

 今、政府は働き方改革を推進していますが、障がい者雇用で新しい働き方も発見できると思いますよ。「超過勤務はさせない」など、障がい者を雇用する上での配慮や工夫は障がいのない社員の働き方改革にも通じる面があるのではないでしょうか。

雇用についても働き方についてもその人の個性に合わせたマッチングをしていくというのは、別に障碍者雇用に限りませんね。

最初に理事長は「障がい者の就労はバブルの状態にある」と指摘されていましたが、これがバブルで終わってしまうのか、さらに発展して続いていくのか、2020年が1つの岐路となりますね。

山下:そうですね。いずれは法定雇用率がなくてもごく普通に障がい者を採用し雇用できる社会になってほしいと思います。

これに尽きると思います。障害者にとって働きやすい社会というのは、それぞれの個性や適性にマッチングした働き方ができる社会という事になります。

それは健常者の人にとっても同様で、それらの区別もなく人それぞれの個性や適性にマッチングした働き方ができる社会になるのが大事だと思います。

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