【障害者雇用】障害者と関わるのは面倒? 外注ビジネスで露呈した「社会の本音」 障害者は障害者だけで暮らせばいいのか3
自治体も農園に賛同
保有する障害者の個人情報を利用し、案内文を障害者のいる世帯に発送した自治体もある。
なぜ、自治体が農園を誘致するのか。ある自治体の担当者はこう答えた。
「汗水流して働かなくていいわけだから、生産性でなく幸せ度で測れば農園は素晴らしい。単純で簡単な作業は知的障害者にぴったりで、誰も不幸にならないウィンウィンの仕組みだ」
(中略)
極めて差別的な発言だと感じる。単純作業が向いている、楽な仕事が向いているという決めつけは侮辱だろう。
「工賃の高い福祉作業所だと思えば良い。家族や本人は喜んでいる」と話す自治体関係者は複数いた。現状に甘んじる無責任な言葉で、なんとも「お役所」らしい。
(中略)
改善のために社会をけん引するのが、行政の役割のはずだ。それにも関わらず、さまざまな課題から目をそらし、障害者が置かれている現状に向き合わず、面倒を避けた結果が農園の誘致ではないのか。
そもそも福祉作業所は、福祉サービスの一環で職業訓練などを行う場で、企業に就職する前のステップとして位置づけられている。
企業が職場だと主張して利用する農園を「福祉作業所だと思えば良い」という発想は、福祉と労働の境界をぼかし、それぞれの分野の課題をも曖昧にする危険をはらむ。
共生社会を目指すならば……
雇用促進法の対象が、身体障害者から知的、精神障害者にも広がって30年以上が過ぎた。同じ仕事を担う仲間として障害者を受け入れる企業も着実に増えている。
それは、障害者や家族が偏見や差別に耐えながら働く姿を示し、社会参加という当然の権利を勝ち取ってきた努力や苦労の積み重ねの成果だ。医療、福祉、労働分野の関係者らも奔走し、障害者への理解と職域を広げてきた。
その歴史を踏まえれば、外注ビジネスを行政が後押しするのは誤りだろう。社会の成長を止めてしまう。誰も損をしない仕組みに思えるかもしれないが、そもそも、何のための障害者雇用なのか。農園を利用する企業のモラルも問われる。
(中略)
企業は必死に雇用率達成を目指しているが、障害者を社会の一員と捉える土壌が十分に育っていないのに、数字だけ整えても障害者への理解は深まらない。法の理念からずれた数合わせの雇用が進むだけで、障害者の生きがいや成長は置き去りにされてしまうだろう。
外注ビジネスは、障害のある人とない人がともに生きる社会の実現を遠ざけている。
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/69028 現代ビジネスから引用
エナベルで就労移行支援を受けています、ウサギの方のTです。
こちらの記事とこちらの記事にも書きましたが、この微妙な数字だけそろえた雇用促進法。
自治体まで参加してこの方向に進んでいるとはビックリです。「楽な仕事で障害者も企業側もウィンウィンな仕組み」・・・
改善を目的としている行政側が企業が職場だと主張して利用する農園を「福祉作業所だと思えば良い」という発想はいくらなんでも酷いです。
福祉事業所と、就業企業は違うはずなのに、完全放り投げです。共生社会もなにもそこにあったものではないです。
何のための障害者雇用??数字を合わせるだけの帳尻合わせの企業はいりません。私たち障害者はそういう世界を求めてません。
障害者を理解しようとしている企業があるところで、この完全放り投げ企業もあるわけで。
外注ビジネスは私たち障害者と健常者の生きる世界との差をどんどん広げていっていますね。
こういうのをオススメする行政も「お役所仕事」なだけで、そこに何もないです。
もう少し障害者と同じ目線で障害者雇用というのを考えてほしいと願います。