【障害者】軽度の知的障害や発達障害は、気づかれない場合が多い。就労や社会生活に苦しみ、生活支援を受けて初めて診断されるケースも。
コロナ禍の今、雇止めや生活困窮などによって支援の窓口を訪れたことがきっかけで、自分に軽度知的障害や発達障害があることに気付く中高年が増えている。
仙台市で一人暮らしをする56歳の女性もその1人。
小学生の時に周囲との違いに気付いたが、「怠けているからそうなると見られがちで、悲しい思いをしたことも」と話す。
専門学校を卒業して社会に出ると、さらに苦労が増えた。
どの仕事も長続きせず10回以上転職を繰り返した。
いつしかうつ状態になり、働く気力も失われていく。
生活が困窮する中、働けない原因が知りたいと病院や行政の窓口に通い続け、今年初めて知能検査を受けた。
結果はIQ64。軽度知的障害に該当することが初めてわかったのだ。女性は「生きづらい理由がわかり、なるほどなと思った」と話した。
東京・品川区にある就労支援を行う事業所では、コロナの感染拡大後にテレワークの訓練などを始めたところ、問い合わせや相談件数が以前の3倍に増えた。
相談を通じて障害が判明したケースがあった。
相談に来た40代男性が医療機関を受診すると、生まれつき脳の一部の機能に障害がある発達障害と診断された。
男性は「もっと早く診断などに動いていたら……」と驚く。
「自白」したとされ、冤罪となった例も
日本で障害への支援が加速したのは2004年の発達障害者支援法の成立以降のこと。
その後、障害の状態などに応じて必要な支援を行う特別教育も実施されるようになった。
だが、支援法成立以前に学校を卒業していた中高年の人たちは障害に気付く機会が少なかったと考えられている。
一方、若い世代にも障害が気付かれない実態がある。
去年、軽度知的障害と発達障害があると診断された大学3年生の女性は、真面目さが評価され推薦で4年制大学に進学。
しかし、母親は娘が幼いころから友達付き合いでつまずき、コミュニケーションに支障があると感じていた。
発達障害の可能性を疑った母は何度も学校に相談したが、問題はないと言われてきた。
このように、発達障害者支援法ができたあとも障害に気付かれない若者がいる理由を、都留文科大学教養学部の堤英俊准教授は「障害に対する教員の知識や経験の不足と、教師たちが障害を伝えることへのためらいがあるため」と指摘する。
長年、障害に気付かれないことで冤罪も起きた。
殺人罪で10年を越える服役を強いられた女性は、長時間の取り調べが続く中、殺人を意味する証言をしてしまった。
女性は自白は誤りだったと主張するも認められず、懲役12年の判決を受けた。
ところが自白の信用性が疑われる事態が起きた。
精神科医が女性の書いた手紙の内容から障害に気付き、獄中で診察。
37歳にして初めて軽度知的障害と発達障害であることがわかった。
女性の自白の背景に障害が深く関わっていることが医学的に指摘され、女性は今年3月に無罪判決を受けた。
見逃されているケースが多いのは30代以降世代
なぜ長い間、障害に気付かれず、支援につながらないのか。
大正大学教授で精神科医の内山登紀夫氏は「診断がつくギリギリの境界にいる場合と、抑うつ症状などの合併症もあり障害がわかりづらい場合があり、見逃されやすい」と指摘する。厚生労働省の調査では、発達障害と診断された人は全国で48万1000人いるが、年代別で見ると30代以降が急速に少なくなっている。内田教授は「発達障害は年代で差があるものではないので、30代以降の世代には見逃しがあると考えられる。公的サポートを受けていないことを意味しているのではないか」と話す。
相談窓口として、都道府県と政令指定都市には発達障害者支援センターや精神保健福祉センターが、市町村には保健センターなどがあるので、「生きづらさがあり、困りごとを抱えている人は、まずサポートを考えるべきだと思う」と言う。
静岡県富士市の就労支援の窓口では、相談に来た人に独自の聞き取りを行い、できることとできないことを明らかにしたうえで、できることに注目し、就労の機会を見つけていく活動を進めている。これを受けて市内の協力企業につないでいく。例えば、協力企業の介護施設では業務分解という作業を行い、介護職員の仕事を専門知識が必要なものと清掃や備品の管理などの仕事を分けて新たな業務とした長く引きこもっていた人などを10人採用して、それらの仕事を担ってもらっている。
エアコン部品メーカーに紹介され、2年前から勤務している男性には発達障害があり、記憶力は抜群だが急な指示が苦手だ。
工場長は発達障害の本を読みこんで自ら資料を作り、職場の同僚たちに障害の知識を広める取り組みを行っている。
男性は部品名が覚えにくい組み立てラインを任されて、仲間たちと働いている。
https://www.j-cast.com/tv/2020/11/11398572.html Jcastテレビウォッチから引用
エナベルで就労移行支援を受けています、ウサギのTです。
コロナ禍の今、雇止めや生活困窮などによって支援の窓口を訪れたことがきっかけで、自分に軽度知的障害や発達障害があることに気付く中高年が増えていると。
30代以降の世代には見逃しがあると考えられている…ということは、私たちの世代は見逃しが大いにあるということです。
ボーダーラインの人がたくさんいたかもしれないのです。
生きづらさや就労に苦しみ、なんで自分は…と思っていた人が実は…ということがあるというのです。
実は私の友達にもそういう友達がいるんですが、認めたがらなくて一切支援などを受けていません。
今なら支援施設や相談所があるからいくらでもその生きづらさを吐き出して、サポートを受けられるかもしれないのに。
うーん。難しいですね。
コロナをきっかけに、今までの辛さは障害や病気の所為だったとわかった方がすっきりすると思うのですが。
だから増えているんですよね。障害者じゃない人だったのに、障害持ちだったという人が。
病名がついてホッとする人もいれば、怯える人もいるんですかね…。
つらいのなら一度専門機関で相談・支援してもらった方がと他人事ながら思います…。