【発達障害】発達障害傾向のあるドライバーが抱えている問題を明らかにし、それぞれの行動特性に応じた運転教育を
自閉症スペクトラムやADHD(注意欠如多動症)などの発達障害傾向のある人は、決して珍しい存在ではありません。様々な調査で、成人の30人~40人に1人以上の割合でみられると言われています。しかし、実際には顕在化していないだけで、それよりもさらに高い割合で存在していると考えられています。
発達障害傾向のある人には、こだわり、反応の遅さ、感覚異常、同時並行処理の困難さ(2つのことを同時にできない傾向)、衝動性、多動性、不注意、視野狭窄、ワーキングメモリーの小ささ(すぐに忘れてしまう)等の特性がみられます。
日常生活の中でも、注意視野(物理的な視野ではなく、注意を向けられる視野)が狭いために、すぐ近くにある物であっても視界に入らずに探せなかったり、壁や人、物などにぶつかったりすることがあります。また、2つのことを同時に処理することが苦手であるために、人の話を聞きながらメモを取ることができなかったり、一つのことに注意を払っていると、その他のことに全く注意を向けられなかったりすることがあります。さらに、うっかりミスを頻繁におこす、思いついた時に周囲のことを考えずにとっさに行動してしまう、などのこともあります。
このような特性は、ドライバーとして自動車を運転する際には、不利に働いてしまいます。「ADHD傾向のある人は方向指示器の出し忘れ、或いは戻し忘れが多く、また急な車線変更を行う傾向がある」と発達障害の専門医も述べています。
海外の調査では、発達障害傾向のあるドライバーの事故率が高いという研究結果がいくつか報告されています(Chang et al., 2014; Cox, 2013 など)。
日本において、自動車を運転している発達障害傾向のあるドライバーは数多く存在していると考えられます。発達障害傾向のあるドライバーの事故率やヒヤリハット体験は一般ドライバーよりも高いことは容易に想像できますが、何故そのような事態が生じるのか、どのような場面においてリスクが上昇するのかについての詳細な検討は未だなされていません。
発達障害傾向のあるドライバーが運転場面でどのような問題が生じるのか、それはドライバーのどのような特性に起因するのかなどを明らかにすることによって、発達障害傾向のあるドライバーの事故を防ぐためにどのような運転教育を行えばよいのかを見出していくことができると考えています。
本研究では、こだわりと感覚異常を強く持っている自閉症スペクトラムの傾向のあるドライバー、衝動性・多動性の傾向の強いADHD衝動型傾向のあるドライバー、忘れやすく注意散漫の傾向が強いADHD不注意型傾向のあるドライバーのそれぞれがどのような運転をしているのかについて、ヒアリング調査をして、運転行動についてのチェックリストを作成します。その上で、作成したチェックリストをもとに実路において運転行動の観察調査およびヒアリング調査を行います。また、定型発達のドライバーに対しても、チェックリストをもとに実路における運転行動の観察調査およびヒアリング調査を行い、発達障害傾向のあるドライバーと比較していきます。
(1)発達障害傾向のあるドライバーに対するチェックリスト作成のためのヒアリング調査
ADHD衝動型、ADHD不注意型、自閉症スペクトラムの傾向があるドライバー、このような特性がある人の家族に対して、過去のヒヤリハット体験とその原因や背景、状況、自覚している運転特性、運転特性に関して、同乗者から指摘された経験の有無とその内容、運転に関して気をつけていること、日常生活の中で、自覚している自身の行動特性(こだわり、感覚異常、同時並行処理の困難さ、衝動性、多動性、不注意、不安傾向の強さなど)に関してヒアリング調査を行いました。
(2)チェックリストの作成
上記のヒアリング調査の結果、以下の11カテゴリーの問題が抽出されました。
【周囲の動き、ノイズに惑わされる】
【こだわり】
【視野が狭い、状況判断ができない】
【不注意】
【2つ以上の行動をすることが苦手】
【衝動的な行動】
【見通しの甘さ】
【左右、後方の視点の変化が弱い】
【車体感覚がイメージできない】
【対向車、後方車のスピード、距離感がわからない】
【その他】
(3)発達障害傾向のあるドライバー、定型発達のドライバーの運転行動の観察調査およびヒアリング調査
作成したチェックリストをもとに、発達障害傾向のあるドライバーに実路を運転してもらい、運転行動を観察するとともに、車にドライブレコーダーを装着し、その内容を分析しています。
これまでの結果、一時停止等の標識を見落とす、自転車や歩行者の脇を通行する際に一切、徐行をしないなどの運転行動を示すドライバーが複数名いることを確認しています。
本研究で、発達障害傾向のあるドライバーがどのような場面でどんな問題を抱えているのかを明らかにすることができれば、今後、それぞれの行動特性に応じて、具体的な運転教育を提供することができると考えます。それによって、発達障害傾向のあるドライバーの交通事故を減少させるだけでなく、そのような特性のドライバーが自動車を安全に利用できるようになることで、活動範囲が広がり、ひいてはそのような特性の人たちのQOLの向上にも寄与することができると期待しています。
https://www.takatafound.or.jp/support/interview/detail.php?id=55 公益財団法人タカタ財団HPより引用
エナベルで就労移行支援を受けています、ウサギの方のTです。
発達障害の方で運転免許を持って運転されてる方はどれくらいいるんでしょうね。
絶対ダメだと言われてる人もいれば、普通に運転されてる方もいるかと思います。
発達障害の特性が人によって違うので、その症状によってもなんでしょうけど、
運転ってマルチタスクというほど必要ではないですが、シングルタスクで運転は出来ないので、その辺は難しいのかもしれません。
特に周囲の音とか気になる症状がある人はハードですね…。
実際発達障害と診断を受けていない方でも、チェックリストの作成の欄を見ると、当てはまる方は居るかもです。
リンク先の引用元にも30人~40人に1人以上の割合でみられると言われていますし。
運転できる発達障害の方は、気を付けて運転して欲しいです。まあ、これは発達障害の方だけの事じゃないんですけどね。
茨城県はやたら交通事故多い県ですし…orz