【障害者雇用】数字を伸ばす「就労移行支援」とは何か?

「現在、御社は障がい者の雇用をどうされていますか?」――企業の人事担当者が、障がい者の就労支援機関を名乗るところからこうした電話を受けることが増えている。

一般企業や国・地方公共団体などによる障がい者の雇用は法定義務(「障害者雇用促進法」障害者雇用率制度)であり、実際、障がい者が就労系の障害福祉サービスを利用して就労するケースはこの10年で10倍以上も数字を伸ばしている。

就労系の障害福祉サービスは、「就労移行支援事業」「就労継続支援A型事業」「就労継続支援B型事業」があり、2018年(平成30年)4月から「就労定着支援事業」も加わった。また、これらの障害福祉サービスを行う事業者のほか、就労支援機関としては、障害者就労支援センターや障害者就業・生活支援センターなどもあり、障がい者自身や企業の人事担当者も明確な違いが分からないほど多岐にわたる。

なかでも、利用者(主に障がい者)が増えている「就労移行支援」とはいったいどんなものか?

これは、事業者が、働く意思を持つ65歳未満の障がい者(原則18歳以上)に対し、就労に必要な知識や職業能力の訓練を行うもので、事業所は全国に3400以上あり、福祉法人・NPO法人・民間企業などが運営している。そのほとんどが通所型の福祉サービスで、公共職業安定所(ハローワーク)や医療機関などと連携したうえで、利用者それぞれの適正に合った就労支援を行っている。

就労移行支援を利用できる期間は2年間
もちろん、就労移行支援の利用者である「働く意思を持つ65歳未満の障がい者(原則18歳以上)」もさまざまだ。

身体・知的・精神障がい者に加え、近年では発達障がい者も増えている。「障害者手帳」の有無に関わらず、就労支援のサービスを受けることができ(休職者は所定の要件を満たす場合に利用可能)、就労支援の事業所は、たとえば、同じ都心部においても、オフィスビルの中にあったり、繁華街の一角にあったりと、指導員・支援員といった人員配置の割合こそ国によって定められてはいるものの、広さや内装・設備(バリアフリー状況)は多分に異なっている。

そして、就労移行支援を利用できる期間は最長2年で、いつからどの事業所に通うかは、利用者自身の判断によるものだ。もし、この記事の読者であるあなた自身や近親者が、就労移行支援を望み、事業所選びをするなら、いくつかの事業所を見学し、そのカリキュラムや職員(指導員・支援員)との相性や支援スタイルを見たうえで通所の判断をするべきだろう。長期間の通所を想定し、まずは、無理なく通える場所(地理的な条件)を考えたい。また、事業所によっては、対応できる障がいの種別が異なること、個別対応(1対1)のサービスではなく、他の利用者と席を共にすることにも留意が必要だ。

就労移行支援の利用者は今後ますます増えていく
次に「就労移行支援」の具体的な数字を見てみよう。

2017年(平成29年度)の利用者は全国で3万3757人。身体障がい者8%、知的障がい者33%、精神障がい者58%、その他1%となっている出典2。そのうち、一般就労への移行者(企業などに就職できた者)は8906人で、利用者の26.4%にあたる。この「就労移行支援利用者の一般就労への移行率」は、2015年(平成26年度)が22.4%、2016年(平成28年度)が25.1%……と、年々、利用者数とともに数字を伸ばし、一般企業による障がい者雇用の高まりがこの数字推移からもしっかり見て取れる。

実際、ある就労移行支援事業所(東京・新宿区)のサービス管理責任者は「コロナの影響で状況はやや変わりつつあるものの、企業の問い合わせやニーズが増えているのは明らかだ」と語る。

法定雇用率を満たす企業には、調整金として1人超過あたり月額2万7000円(常用労働者数が100人超の企業の場合)が支給されるが、法定雇用率が未達成の企業は不足人数1人につき月額5万円(常用労働者数が100人超の企業の場合)を納付しなければならない。企業にとっては納付額の多寡よりも、公共職業安定所(ハローワーク)による指導や社名公表のリスクを避けたいのが本音であり、いまや、ダイバーシティ&インクルージョンの姿勢を重んじるビジネス社会において、障がい者雇用に積極的なのは当然の理なのだ。

こうした状況から、令和の時代は、就労移行支援の利用者も、一般就労への移行率もまますますアップしていくことは間違いないだろう。

就労移行者は「職場」に定着できているのか?
しかし一方で、数字の細部を見れば、全国に約3400ある就労移行支援事業所の各々の移行率には相応の差異があることが分かる。2016年(平成28年度)のデータによれば、移行率0%――つまり、利用者(主に障がい者)の誰も就労できなかった施設が、実に全体の約30%を占めているのだ。

また、独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構の調べでは、就労した精神障がい者の就労1年後の職場定着率は約49%で、せっかく就労しながらも、約半数が1年以内に職場を去っている事実が垣間見れる。

就労移行支援を行う事業所は、就職後6カ月間は就労者との面談(対面)や電話連絡といった「継続支援」を行い、離職を避ける努力をしている。それでも、症状の悪化や仕事のストレスなどにより、職場を離れてしまう者が後を絶たない状況だ。

前述のように、就労移行支援の最長利用期間は2年だ。原則として、2年利用してしまう(積算含)とそれ以降は就労移行支援サービスそのものを受けることができなくなってしまう。企業にとっても離職者の出現は大きな痛手であり、できるだけ長く働く障がい者の雇用を実現したいはずだ。そのために、企業には就労移行支援事業所とのいっそう密な連携が必要となる。

企業による障害者雇用の状況は、まだ道半ば
2018年(平成30年)3月に厚生労働省が告示した「障害者雇用対策基本方針」には、「就労支援及び定着支援の更なる充実を図ることや、職場定着支援や生活面も含めた支援等により、障害者の雇用の継続・安定を図りつつ、障害の種類及び程度に応じたきめ細かな対策を、総合的かつ計画的・段階的に推進していくことが必要である」と記されている。

2020年7月現在、この基本方針に則った障がい者の就労移行支援と企業による障がい者雇用は、まだ道半ばだ。

一般社団法人 精神・発達障害者就労支援専門職育成協会代表であり、医療法人社団欣助会吉祥寺病院にて医療型の就労支援を行っている清澤康伸氏は次のように語る。

「人事担当の方も含め、企業は障がい者の病状のことや障がい者雇用についてとてもよく勉強をされています。ところが支援機関側は、利用者の送り出し先である企業についての勉強が足りなかったりします。企業の論理を知らずに就労支援を行ってしまう支援機関が少なくありません。そのため、企業と支援機関では障がい者雇用についての認識に温度差があるように感じています。また、国内において、体系的かつ具体的な就労支援のノウハウを習得するためのインフラが整備されているとは言いづらい状況があります。就労支援員の定義も明確になっていません。そのため支援員の質が担保されていないことで支援にばらつきが出ています。支援員の質が担保されていないことや企業を知らずに就労支援を行うことで、就労率だけでなく、定着率も悪くなります」

https://diamond.jp/articles/-/244060 DIAMOND onlineより引用

 

エナベルで就労移行支援を受けています、ウサギのTです。

エナベルも就労移行支援を行っている事業所の一つです。私も入るまで何もわかりませんでした。

私は二年という期間を越えて、三年目。今年は新型コロナの事もあったので一年延長できました。

大概の施設でプラス一年最悪延長できます。その間に就職先を探さなきゃならないのですが、なかなかままならないですね…orz

就労支援のことについては、こちらのページでもマンガを交えて書いてます

障害者の雇用で、いきなり就職は自信ないな…ってひとが利用する就職訓練施設ですね。

沢山事業所があるので、エナベルに関わらず、自分に適した事業所を選ぶのには入学・体験は必須ですね。

エナベルでは体験三日間までできます。

そこで自分と相性が合う事業所を選んでください。

私はエナベルしか知らないんですが(汗)他にもたくさんの事業所が特色豊かにありますので。

 

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