【障害者雇用】就労継続支援A型事業所の法改正の影響

障害者雇用のための就労支援施設A型事業所には2017年4月に大きな法改正があり、劣悪な事業所が閉鎖されると同時に、その経営条件が厳しくなり、真面目に就労支援を行っていた事業所も負担が増加したり、閉鎖に追い込まれてしまったりする事例が起きました。

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2017年4月、「利用者の給料を給付費から賄ってはならない」を柱とした法改正が行われました。元々給付費を利用者の給料にすることは禁じられていたのですが、この改正では指定取り消しなどの罰則強化でより強く禁じた格好となります。

仕事をろくに取っていない不真面目な事業所は廃業か指定取り消しのどちらかを迫られ、次々と淘汰されていきました。ここまでは行政の思惑どおりです。しかし、「事業所の仕事だけで利用者の給料を賄う」という付帯条件が真っ当な事業所をも苦しめていきました。仕事を受注しても最低賃金に届かないのです。

最低賃金のラインは月7〜8万円なのですが、多くの事業所で採用されている軽作業では月1〜2万円(B型事業所の工賃)が関の山で、とても事業収入だけでは届きません。新しい事業に着手しようにも、勤怠の不安定な障害者の集まる実働4〜5時間の事業所と分かって発注してくれるクライアントから探すのに苦労します。

企業努力も空しく結果が出なかった真っ当な事業所も、この法改正の煽りを受けて淘汰されていきました。

実際、経営努力に追われる挙句、普通のアルバイトと就労継続支援A型の違いがどんどん曖昧になっていき、「なんのための障害者の就労支援施設なのか?」という事業所が現在進行形で増えているわけです。

確かに助成金などで不正をしていた事業所が閉鎖されたのは良いことかもしれません。

しかし、この法改正は、事業所が閉鎖に追い込まれて就労支援を受けられなくなった障害者に対するセーフティネットがないままに行われたわけです。

さらに言えば、この法改正後に中央省庁や地方自治体の障害者水増しが明らかになっています。

つまり、障害者当人に対するセーフティネットを設けないまま、就労継続支援A型事業所に締め付けを行ない、さらにセーフティネットとなるべき中央省庁や地方自治体も水増しによって法定以下の障害者の受け入れしかしていなかった事が明らかになるわけです。

確かに不正な事業所を取り締まるのは大事ですが、そのせいで就労支援を受けられなくなった障害者が路頭に迷ってしまう事態が全国で起こっているというのは、「なんのための就労支援なのか?」という状況が現在進行形で起きているわけです。

これから高齢ニートや精神障害者の就労支援などがさらに必要になっていく今、目先の社会保障費の節約のために、「本来なら生産活動や社会活動に加われるはず」の人たちが漏れていくのは、かえって社会保障費の負担を増やしていくことになるのではないでしょうか?

「路頭に迷う高齢者や障害者」がこれから増えることが確実な現在、長期的視野をもってセーフティネットと就労支援などによる「生産活動や社会活動への参加」をさせるべき政策をもってもらいたいと思います。

 

 

 

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