【障害者】自傷行為や他害…強度行動障害、支援のポイントは 専門家に聞く

自傷行為や他害などを起こす強度行動障害。
もともと自閉症や重い知的障害がある人に多く、早期に適切な支援や配慮を受ければ予防できるとされ、学校現場でもノウハウが蓄積されている。
福岡県内で、その研究事業に取り組んだ福岡教育大・教職大学院教授の納富恵子さん(62)に支援のポイントを聞いた。

精神科医として発達障害のある子どもの診療に携わってきた納富さん。1990年に福教大に移り、本格的に教育的支援を研究してきた。
「特性を理解し、一人一人に合った環境を整え、意思疎通できるよう工夫して支援すれば行動面での課題は十分解決できると、一般の人たちにも理解してほしい」と語る。

(中略)

絵や図で具体的に

自閉症の子どもは、周りの情報を自ら選んで取り入れ、整理することが苦手で、あいまいな状況に混乱しがちとされる。
基本的な支援としては、いつ、何を、どのようにするのか、具体的に示すことが必要だ。納富さんはキーワードとして「シンプル(簡潔)、クリア(明確)、ビジュアル(視覚的)」を挙げる。

例えば、教室には不必要な物を置かない▽黒板の板書が際立つよう、本棚などはカーテンで覆う(シンプル)。
指示は「廊下は走ってはだめ」ではなく「廊下は歩きます」と具体的にする▽事前に活動の順序を黒板などに示す(クリア)。
教室内でもパソコンを使うスペースを仕切るなどし、一つの場所では一つの活動しか行わない▽スケジュールや予定も色分けするなど文字や絵、図を使って提示する(ビジュアル)。

「自分で見て、考え、主体的に活動できるように支援する。やり遂げた経験によって学び続けようと勇気づけることが大切です」

嫌な経験思い出し

中には、感覚が過敏なため、ほかの人は気にならない音などの刺激に極端に驚いたり、同じような場面で過去の嫌な経験を思い出し、パニックになったりする子どももいる。自傷行為や物を壊すなど、周囲から問題行動と受け取られがちだが「特定な苦手なことから逃れたい、あるいは物や周囲の人の注目などが欲しくて繰り返しているのかもしれない」と納富さん。困った状況を発信するコミュニケーションの意味を持つ場合もあるという。

こうした際は原因をじっくり見極め、その背景に応じた対応が不可欠。
音楽がかかると教室を飛び出す時は耳栓を活用したり、大きな音がきっかけになる場合には運動会のピストルの音を旗の合図に変えたりする。
「いつどこでどんな行動をしたか、どう対処したか記録を取り、状況を整理して原因を推測していく」作業も必要になってくる。

いずれにしろ「単に部屋を仕切ったり、手順を示したり、環境を形式的に整えればうまくいくわけではなく、一人一人と丁寧に向き合い、個別に配慮を考えること」(納富さん)が支援の成否の鍵を握る。

意思疎通法も進化

言葉では自分の気持ちを伝えられないもどかしさが問題行動の原因にもなることから、近年は「欲しいもの、したいことを絵カードを使って意思疎通し、コミュニケーション能力を伸ばすトレーニング」も知られる。情報通信技術(ICT)の進歩に伴い、iPad(アイパッド)などを活用し、手軽に視覚的に意思表示することも可能だ。

「押しつけではなく、自らこうしてほしいと発信できて初めて、相互に分かり合える」と納富さん。
ここ10年、さまざまな企業などがコミュニケーションの支援や環境を整える教材などの作成に参画しているという。
「学齢期であれば比較的容易に、社会に適応していく力やコミュニケーション能力を伸ばせる。さまざまなノウハウを今後も引き継ぎ、学校現場と保護者が連携しながら、生きづらさを抱える子どもたちを支えていってほしい」

https://www.nishinippon.co.jp/item/n/637108/ 西日本新聞より引用

 

エナベルで就労移行支援を受けています、ウサギのTです。

ここでは発達障害のある子どもの診療に携わってきた方のお話を載せていますが、発達障害を持っている人はこういう思いあるのかな…と載せました。

「押しつけではなく、自らこうしてほしいと発信できて初めて、相互に分かり合える」…この言葉はずっと仕事に携わって、

たくさんの子たちを見てこの方が率直に感じた事なんでしょうね。一人一人の特性を理解して、その子に合ったコミュニケーションで伝えあう。

深い言葉だと思います。

支援のポイントはそこだと。重い自閉症でも、他害…強度行動障害でも。

 

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