【エナベルの本棚】球場ラヴァーズシリーズ 石田敦子
いろんな『好き』は素敵なこと! 球場ラヴァーズシリーズ
こんにちは、エナベルで就労支援を受けているOです。
プロ野球では広島ファンです。
だからというわけではありませんが、この『球場ラヴァーズ』が好きでたまりません。
この作品は、いじめを受けていた主人公の少女が複雑な敬意で野球場で人探しをするところから始まって、さまざまな出会いを通して広島カープが好きになり、野球が好きになっていくという物語です。
あらすじを言ってしまえばそれだけなのですが、ここに登場するキャラクターたちはいろんな理由で「広島カープのファン」「野球ファン」になっています。
よく「好きになるには理由はない」とか言われたりしますが、この作品では「好きになるにはいろんな理由があって、いろんな『好き』がある。そして、それでいいじゃない」という事が丹念に描かれています。
これは広島カープや野球に限らず、人が人を好きになる理由、異性を好きになる理由、趣味を好きになる理由、そんな様々な「好き」を肯定的に描いており、いろんな『好き』があって、どんな『好き』も素敵なんだよ、という事を教えてくれる作品です。
確かに題材は広島カープで統一されていますが、内容は『好き』とはなにか? そして『好き』って素敵なことだよ、という事を教えてくれる、とても普遍性のある作品になっております。
私は特にこの作品の登場人物の基町 勝子さんが好きで好きでたまりません。いいなあメガネのお姉さん……ああ好きぃ……。
ともあれ、広島ファンはマスト買いですが、広島に興味がない人や野球に興味がない人でも、主人公がまず広島カープにも野球にも興味がないところから始まるので、入りやすいと思います。
そして読み終わった頃には、少しだけ世界が『好き』になっているでしょう。そんな素敵な作品なのです。