【パニック障害】「家名に傷」パニック障害でも保険証使えず…古谷経衡さんの苦しみ

保守系の論客で作家としても20冊以上の本を出し、テレビのコメンテーターとして活躍する古谷経衡さんですが、高校1年生のころからパニック障害と広場恐怖症に苦しんできました。両親から「北大に行かないと人間じゃない」と言われた受験のプレッシャーに加え、精神障害に対する偏見から保険証を使わせてもらえなかったという過去。同じような悩みを持つ人には、ネットの口コミに惑わされず「病院に行ってほしい」と訴えます。障害を公表するまでの道のりを、お笑いジャーナリストのたかまつななさんが聞きました。

高校1年生から22年間共にする「パニック障害」
たかまつ:私は今まで知らなかったんですけども、古谷さんはパニック障害をお持ちなんですね?

詳しく教えていただけますか。

古谷:そうですね。発症したのは1998年高校1年のころで今も病院に通っています。

22年間この病気を持っていて、今も薬を8種類ぐらい飲んでいます。

通院はだいたい一月に1回程度です。

千葉県から精神障害者第3級に認定されています。精神障害者手帳も持っています。

今は症状がでることはほとんどないんですが、まだアゴラフォビア(広場恐怖症)の部分が残っているので、東京ドームや静かなコンサート会場などには行けません。

 

授業が受けられない!中退を検討したことも
たかまつ:高校生でパニック障害を発症されてからはどんな高校生活を送ってらっしゃったんですか?

古谷:高校1年生のときは、学校で授業が受けられないレベルでした。合併するアゴラフォビアの症状もあったので、いろんな人から見られているところで活動ができなくなりました。授業に出られないので、単位が取れない。高校を中退することを考えたこともありました。

教室の席は一番後ろ、体育は見学、先生との交渉でなんとか卒業

たかまつ:そんな状況のなかどうやって高校を卒業されたんですか?

古谷:教室では先生に2、3ヶ月かけて交渉して、なんとか人から見られにくい教室の一番後ろの角に座らせてもらいました。全校集会などにはもちろん出られないけど、保健室で待機することによって出席と認めてもらえるようにしたりもしました。

それから、体育館が一番逃げ場がないし、みんなに見られてるからだめだったのですが、見学で出席認定してもらえるようにしましたね。その後大学に入ってからは、席も自由だし、体育も必修ではなかったので、症状は落ち着きました。

たかまつ:大変な高校生活でしたね。どうやって自分で精神障害だと分かったんですか?

古谷:特定の状況になると発作が起こるっていうのは、臓器の不調に起因する病気ではないと、医師から言われました。
特定の状況になると、死の恐怖とか、突然の動悸、平衡感覚の異常などがおきます。
豆腐の上に座ってるような感じで、平衡感覚がなくなるんです。
地面が崩れていく感じ。立っていることができません。
僕はなんとかそこまではいかなかったですが、ひどい場合は動悸やめまいで息が苦しくなり、失神する人もいるんです。

 

偏見で保険証が使えず、心療内科にも通えない
たかまつ:高校のころ、病院には行かれなかったのですか?

古谷:僕の両親がものすごく精神障害に対して偏見、差別を持っていて、心療内科に行きたかったのに、保険証を使わせてもらえなかったんです。

古谷家の家名に傷がつくからって。気のせいだろとか、寝てりゃ治るだろとか、母親は「お祈りしとくから大丈夫だ」と言われました。

そういう病気じゃないんだってこっちは思いましたけど…。

 

大学進学へのプレッシャーが学生時代のストレスに
たかまつ:病気を発症された原因ってなんだったのでしょうか?

古谷:パニック障害の原因は医学でも明確にはわかっていないのですが、患者はストレスの多い環境にいることが多いとされています。両親の影響が大きかったと思っています。

僕の両親が完全な学歴信仰主義者で、札幌生まれの僕は北海道大学に行かないと人間じゃないと言われていました。特に、僕は長男だったので、父親がすごく期待するところがあったらしくて、幼稚園ぐらいのときに、当時北海道大学の進学割合が高いと言われていた高校の学区にマンションを買ったんです。つまり、両親は幼稚園のときに僕の人生を全て設定していたんですよ。今考えれば異常な学歴信仰の末路です。

当然、勉強をしないと怒られていました。僕がシャワーを浴びてると、母親が勉強していないのを理由にガスを全部切ったりして。北海道の冬なので、シャワーはガスを切ると温度は2度、3度になります。冷たい水シャワーから出ると、廊下も室温3度くらいでした……。

 

ストレスのない生活が、症状安定の鍵
たかまつ:古谷さんはどのようにパニック障害と付き合ってきたんですか?

古谷:大学卒業後、知人の紹介で保守系の雑誌に文章を書くようになり、今の世界に入りました。
日常的にはなるべくストレスのない楽な生活を猫と家族と一緒にするように心がけています。
就職したこともないですし、執筆など自営業でとにかく好きなことをやっていたことが、病気との共生ができている理由だと思います。

たかまつ:自分がパニック障害を持っていると公表しようと思ったきっかけはなんですか?

古谷:最近、IKKOさんとか、長嶋一茂さんなどがパニック障害を公表されるようになりましたよね。
ジャニーズのメンバーも活動を休養したり。そういう流れで僕も2017年に勇気を出して言えるようになりました。

 

公表してからのほうが楽
たかまつ:公表してからは生活しやすくなりましたか?

古谷:しやすくなりましたね。例えば、堂々と車の後部に障害者マークを貼れるようになりました。

これから発作が起こるんじゃないかなっていう急激な不安に襲われること(予期不安)があるのですが、そういうときは身体障害者用の駐車場にとめています。逃げ場であるトイレが近いので安心だからです。

ただし自分が障害を持っていることを言わない人のほうが多いと思います。

家族や友達、恋人からどう思われるか分からないという不安を持っている方もいるんですよ。

だから精神障害者に該当するのに認定を取ってない人もいるんです。

精神障害者って、手帳持ってる人が60万人ぐらいいるんですけど実際には僕はもっといるんじゃないかなと思っています。

たかまつ:世間の差別とか偏見は、今ほとんど感じないんですか?

古谷:差別とか偏見とかではないだろうけど、たまに役所の人に、“あなたは精神障害者に見えないですよね”みたいなことは言われますね。

しかし、ネットには「古谷は脳の病気だ」「薬のせいで頭がいかれている」等と誹謗中傷や侮辱を書き込まれて、相手を名誉棄損で訴えたことがあります(2019年に勝訴確定)。日常生活での面と向かっての差別や偏見は過去に比べれば和らいでいますが、ネットを覗けばむき出しのヘイトが今もいたるところに残っています。

それから障害は大きく分けて、身体、知的、精神に分かれるのですが、昔は障害者手帳はどの障害かわかるように“精神障害者手帳”って書いていたんですよ。でも偏見を生むと精神障害者団体の抗議によって“障害者手帳”に統一されたんです。でも逆に言うと、そういう配慮が存在するってことは、まだ差別や偏見は厳然としてありますよ。

(中略)

まずは病院に行ってみよう
たかまつ:最後にお伺いしたいんですけども、同じ悩みとかを持っている方とかに、ぜひメッセージをお願いします。

古谷:日常生活が耐えられないレベルになる前に、ぜひ病院に行ってほしいです。

精神科にかかると薬物療法を勧められることがあると思いますが、主治医と相談して、きちんとした治療をしないとどんどん悪化してしまうことが起こり得るので。それから自治体が運営する健康相談窓口に連絡して症状を伝えてみるのもいいと思います。

一つだけ言いたいのは、精神障害の症状は人それぞれなので、ネットで調べて、自分の病気を決めつけないでください。

パニック障害とうつが合併しているパターン、パニック障害とアゴラフォビアが合併しているパターン、僕はちょっとうつも入っているので、3種混合みたいになっている場合もあります。
保険診療が適用されますし、ぜひ気軽に行ってみた方がいいと思います。

ネットの病院の口コミはあまりあてにならないので、自分に会う先生を探して、そこに通い続けるのがいいと思います。

たかまつ:同じように苦しむ人たちに伝わりますように。本日はありがとうございました。

https://withnews.jp/article/f0200909001qq000000000000000G00110701qq000021729A withnewsより引用

 

エナベルで就労移行支援を受けています、ウサギのTです。

私もパニック障害を患っていて(まだ治ってはいないですし)たまに症状が出る時があります…。

22年間もこの病とつきあってるというのは大変ですね。アゴラフォビア(広場恐怖症)があるのは辛いです。

私もこれがあるので、人の多い場所に行くのが恐怖です。

まだコロナ前のクリスマス映画館に行って、意識朦朧として帰ってきたことを思い出します。

両親がものすごく精神障害に対して偏見、差別を持っていて、心療内科に行きたかったのに、保険証を使わせてもらえなかったんです。
病気なのに、家の家名に傷がつくからって。保険証を貸してもらえないのは辛いです…。理解のないご両親だと大変ですね…orz

日常的にはなるべくストレスのない楽な生活を猫と家族と一緒にするように心がけているとか。ストレスがやはり一番ダメなんですね。

才能のある著名な方ですから、就職したことなくても執筆など自営業でとにかく好きなことをやっていたのが病気との共生ができている理由だと。

羨ましいです。私にはそんな才能はないから、エナベルで就労移行支援を受けているのですが…。

でもデリケートな問題で、差別も受ける可能性がある中、自分がパニック障害を患っているということを公言するのは勇気が要ると思います。

最近は有名人がポツポツとそういう事を言うようになってきて、ボーダーが下がったとは思いますが、まだ差別は残ってます…。

特にパニック障害だと症状が起きないと普通と同じように振舞えてしまうから、病人に見えないという…。

それはそれで難しい所なんですよね。いかにもな障害者じゃないから…。

私もパニック障害以外にうつを患っていますが、症状がない時は病人に見えないんですよね。

差別されないけれど、障害者に思われないからなんか複雑な気持ちになります…。

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